日本ではどこでも自由に海釣りができるわけではありません。
ここでは釣りができない場所や制限されていることについてまとめました。
法律が関わる内容もあるので、一度は目を通しておくことをおすすめします。
立ち入り禁止と定められた場所
立ち入り禁止(立ち禁)の場所は、主にその土地の所有者・管理者が定めた場所です。
そういった場所では、誰かが中に入ってしまうことがないようにされています。
大抵「関係者以外立ち入り禁止」などと書かれた看板が目立つように設置されてたり、人が中に入れないようにフェンス(金網)で囲っていたりします。
立ち入り禁止の場所に入った場合、以下の法律が適用できます。
軽犯罪法第一条三十二「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」
軽犯罪法|電子政府の総合窓口e-Gov
つまり、立ち入り禁止での釣り=軽犯罪法違反になります。
もし、こういった場所で釣りをして警察に捕まった場合、立ち入り禁止だと分かった上で入った、過失ではなく故意によるものだと見なされます。
つまり言い逃れをするのは難しいということです。
補足として、捕まった場合どうなるかについて。(とある立ち禁ポイントでのケース)
まず署まで連行されます。車がある場合はパトカーに先導される形で署まで行くことになります。
署に着いたら、署内で指紋を採ったり事情聴取されます。(終わるのに数時間かかる模様)
最後は、身元引受人を呼んで署まで来てもらえば解放されます。
親・兄弟・職場の人・知人の中から、誰かを身元引受人として署まで来てもらう形になるそうです。(身元引受人は親族が原則らしい)
そういったわけで、立ち入り禁止の場所で釣りして警察に捕まった場合、家族や会社など周りの人に迷惑をかけることになります。
埠頭(ソーラス条約)
埠頭とは、コンテナを運ぶ貨物船など大きな船が停まってるような場所です。
こういった場所では釣りができません。
理由は「ソーラス(SOLAS)条約」です。
ソーラス(SOLAS)条約とは「海上における人命の安全のための国際条約」と呼ばれる取り決めです。
2001年の米国同時多発テロ事件を背景に改定されたものが2004年7月に発効され、テロ防止のため船舶と港湾施設の保安対策の強化が義務づけられることとなりました。これによって、現在では全国の港湾施設の多くが立ち入り禁止となっています。
1974年の海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)|国土交通省
※ちなみに昔は埠頭でも釣りができた時代がありました。そういった場所は、表向きは禁止だけど黙認というスタンスだった。
もし釣り関係のサイト・ブログなどで、どこかの埠頭で釣りをしたという記事を見かけた場合、いつ頃に投稿された記事なのか必ずチェック。
記事に日付があって、その日付が古い場合、今は釣りができない場所となっている可能性が高いです。
橋(釣り方の制限)
場所によっては、橋の周りで仕掛けを投げる行為を禁止にしている場合があります。
また、橋の上からの釣りは禁止です。橋の交通妨害にあたる行為、道路交通法違反の恐れがあります。
道路交通法 第七十六条3「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」
道路交通法 第七十六条4-2「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。」
道路交通法|電子政府の総合窓口e-Gov
公園(釣り方の制限)
海沿いにある公園(海浜公園)の中には、釣り方を制限している場合があります。
この写真の場合、仕掛けを投げる行為が禁止されているのは、安全面の理由から。
散歩やジョギングなど、本来想定された公園利用者とのトラブルを防ぐためといえます。
他にも、サビキ釣りなどで使うコマセ(まき餌)の使用を禁止にしているケースも。
まき餌(コマセ等)を禁止・制限している場所
都道府県の一部では、まき餌の使用を禁止・あるいは制限を設けています。
※2020年12月現在、該当する都道府県。
- 東京都
- 茨城県
- 兵庫県
- 秋田県
例えば、東京都では以下の条例があります。
(遊漁者等の漁具漁法の制限)
第四十条 何人も、次に掲げる漁具又は漁法以外の漁具又は漁法により水産動植物を採捕してはならない。
一 竿釣り及び手釣り(まき餌釣りを除く。)
東京都漁業調整規則
二 たも網及びさ手網
三 投網(船を使用しないものに限る。)
四 やす及びは具(貝まきを除く。)
五 徒手採捕
六 ひき縄釣り
昭和40年7月13日 規則第160号
(令和2年12月1日施行)
ようするに、東京の釣り場で釣りをする場合、サビキ釣りでコマセを使ったりフカセ釣りでコマセをまいたりしてはいけません、ということです。
↓こちらも参照
まき餌の規制 – 公益財団法人 日本釣振興会
特定の魚を釣る行為(漁業権)
漁業権とは、私たち(遊漁者)にとっては「特定の魚介類を勝手に採ってはいけません」といった決まり事になります。
もし勝手に採ったりすると密漁になります。お巡りさんに見つかると捕まるやつです。
たまにニュースで密漁者を捕まえた話題が出ることがあります。それを見て、イセエビとかアワビとかナマコとかを勝手に採ってはいけない、と知っている人は多いのではないでしょうか。
上記の詳細は「密漁対策と罰則の強化(PDF)」を参照。
海釣りの場合、タコ、サケ・マスあたりは要注意です。
釣り場で漁業権の対象となる魚について詳しく知りたい方は、各都道府県の漁業権に関するページをチェックしてみてください。
以下のページから、各都道府県の漁業権・遊漁のルール(採ってはいけない魚、禁漁期間のある魚、禁止されてる釣り方・漁具など)に関する情報を見ることができます。
その他
地域によって集魚灯やカニ網など特定の漁具を使うことを禁止にしている場合があります。※各都道府県の漁業権に関するページを参照。
終わりに——「情報」に要注意
インターネットや本・雑誌で掲載されてる釣り場の情報には気を付けてください。
釣りができない可能性があるからです。
例えば、元々釣りができる場所だったけど、人が増えてきてゴミや路駐などのトラブルが増え、いまはもう釣り禁止となっているパターン。
あるいは、元々釣り禁止の場所が紹介されているパターン。
また最近では釣りをする人が増えてきてます。それに伴ってトラブルが増え、釣り禁止となってしまった釣り場がどんどん増えている傾向にあります。
ほんの数週間前の釣果情報でも、いざ釣り場に行ってみると釣り禁止になっていた…なんてことも普通にあり得る状況になってます。
待ちに待った休みの日、ワクワクしながら釣り場まで来たというのに釣り禁止になっていて、せっかくの休日が台無しになってしまった…なんてことにならないように備えておきましょう。
- 始めていく釣り場であれば、できる限り新しい情報・確度が高い情報を集める、下見をする。
- 釣り場を複数ピックアップして釣行プランを立てておく。もしAの釣り場がダメだったら近くにあるBの釣り場でやる、といった具合。