夏の海釣りの暑さ対策

夏の時期・真夏日に釣りをするときの注意点や暑さ対策についてまとめてあります。

夏の釣り場はどれだけ暑いのか?

真夏の日中はとにかく暑い。

照りつける日差し、地面から伝わる熱気。

何気なく防波堤に手を付けると、とても熱い。

一体どれだけ熱いのか?ということで、実際に防波堤の温度を計測。

 

41.8℃。この日の最高気温34℃。薄曇り。微風。
52.5℃。この日の最高気温34℃。晴天。風無し。

※計測に使ったのは料理に使うデジタル温度計(タニタ製)。

 

防波堤はコンクリートで出来ています。

コンクリートは熱をため込みやすいことは、夏の都市部で起こっているヒートアイランド現象の原因の一つとして知られています。

つまり夏の防波堤は、まるで巨大なヒーターのようなもの。

 

最高気温が30度後半・曇りなし・無風の条件だと、防波堤は過酷な環境となります。

 

※ヒートアイランド現象について詳しく知りたい方はこちら。
NHK そなえる 防災|コラム|ヒートアイランドはどうして起こる?

暑さによる問題点・注意点

3つあります。

1. 釣りの最中に熱中症になりやすい

夏場、気温が高い時期に起こりやすいことでよく知られている症状。

初期症状は、めまい、立ちくらみ、顔のほてり、頭痛など。

 

釣りに集中していると熱中症の初期症状を起こしてることが珍しくありません。

我慢して釣りを続けていると症状が悪化します。

 

意識がはっきりしない、意識が無くなる、嘔吐、けいれんを起こす、といった状態にまで悪化すると、自力ではどうにもならなくなります。

そうなる前に、こまめに水分をとったり、風通しのよい日陰で休憩したりして、体を冷やす必要があります。

2. 釣った魚を食べて食中毒になる

夏場、食べ物を常温で保存するのは食中毒につながり、危険です。

釣りの場合だと、釣った魚を水汲みバケツの中に入れっぱなしにする行為が食中毒につながります。

 

汲みたての海水を計測。この日は29.4℃。晴天。※都内某所
しばらくしてから計測すると38.9℃まで上昇。お風呂のシャワー並の温度。晴れた日だと防波堤の熱も加わって、水汲みバケツの海水はどんどん温まっていきます。

 

温まった海水の中に魚を入れたままにしておくのは、腸炎ビブリオによる食中毒の原因になります。

夏場、釣った魚を持って帰って食べる場合、魚を水汲みバケツに入れっぱなしにしておくのは絶対にやめましょう。

 

釣った魚での食中毒についてはこちらも参考に。
海釣りで食べられる魚での食中毒のケースと予防法

3. 活きエサが弱りやすい・死にやすい

例えば、アオイソメやジャリメなどの虫エサの場合。

夏場、外に置きっぱなしにしておくと、高温ですぐ弱ってダメになります。

 

また、泳がせ釣り(呑ませ釣り)に使う小魚の場合。

水汲みバケツやバッカンなどに海水を入れておいて、その中に釣った小アジなどを入れて活かしておく人は多いと思います。

普段ならそれで問題ないですが、夏場だと水汲みバケツの海水の温度がどんどん上がっていきます。

そのままにしてると、魚が高水温に耐え切れず死んでしまいます。

釣り場での暑さ対策の例

5つ紹介します。

1. 帽子をかぶる

つばの広い帽子は、熱中症予防の効果があります。

頭部への直射日光を防ぎ、頭部の温度上昇を軽減してくれるからです。

アウトドア用のハットが最適。

 

※釣り場での日焼け対策の格好についてはこちら。
夏の釣りの服装、日焼け対策に使えるウェア

2. 濡らしたタオルを首に巻く

首には頸動脈(けいどうみゃく)と呼ばれる太い血管があり、血液を脳に送るための通り道となっています。

その部分を冷やすことで、熱中症を防ぐ効果が期待できます。

 

タオルは水で濡らすと気化熱で冷たく感じるものが最適。

「クールタオル」「冷却タオル」「冷感タオル」といった名称で売られています。

3. 大きめのクーラーボックス

夏場の時期は、沢山の氷と飲み物を入れることができる、容量が大きめのクーラーボックスを使うことをおすすめします。

ホームセンターで見かけるアウトドア用の安くて容量の小さいクーラーボックスは避けたほうがいいです。

例えば10L未満の小型のものだと持ち運びは便利ですが、真夏の直射日光の当たる場所に置いた場合、数時間で氷・保冷材が溶けてしまうことがあります。

そうなると、家に帰るまで釣った魚を保冷することができません。

 

値段は張るけど、理想は釣具メーカー製のクーラーボックス(シマノやダイワなど)。※写真は「シマノ スペーザ」

4. 冷たい飲み物を持っていく

炎天下の中での釣りは、とにかく汗をかくので、飲み物は多めに。

それもシッカリ冷えた飲み物が必須です。

 

釣り場のすぐ近くに自販機やコンビニ・売店があれば、そこで冷たい飲み物を買うことができます。

近くに自販機などがない場合は、当然飲み物を持参する必要があります。

 

クーラーボックスに容量があれば、そこにペットボトル飲料を入れておくことができます。

ペットボトル飲料は冷凍可能なものがおすすめ。

水分補給とクーラーボックスの保冷を兼ねることができるからです。

凍らせたペットボトル飲料(冷凍ボトル)。

 

もし、クーラーボックスの容量に余裕がない場合、あるいはクーラーボックスを釣り場にもっていかない場合は、水筒を持っていきましょう。

水筒に入れた飲み物がすぐに温くなってしまっては困るので、当然、保冷機能のある水筒を選びましょう。(真空断熱構造・魔法瓶構造のもの)

※保冷機能を持った水筒はステンレス製が主流。

 

水筒に氷を入れたほうが冷たさが長持ちするので、氷を入れる分を考えると容量は大きめがいいです。

 

一人用であれば、釣行時間が短い場合は1リットル前後。

朝から晩まで釣りをするのであれば、最低2リットル以上あった方がいいと思います。

家族、複数人での釣行であれば、水筒より大容量のウォータージャグのほうがいいかもしれません。

 

ウォータージャグの場合、屋外用・キャンプ用の保冷機能があるものを選びましょう。

保冷機能が無いものだと、当然、飲み物がすぐ温くなってしまいます。

また、日中の防波堤は高温になるので、ウォータージャグの底が直接つかない形状のもの、足つきのほうがいいでしょう。

5. こまめに日陰で休憩する

夏場、炎天下の日中は、こまめに日陰で休憩を取るようにしましょう。

例えば、屋根のある建物。公園であれば、「あずまや(東屋)」「ガゼボ」と呼ばれる屋根付きベンチ。

クーラーボックスを日陰に置くようにすれば、中の氷も長持ちします。

 

なお、木陰で休む場合は虫刺されに注意してください。

夏は、カ・ブヨ・ハチ(スズメバチ・アシナガバチ)・ドクガの幼虫などがいます。

 

▼まとめ

  1. 帽子をかぶる
  2. 濡らしたタオルを首に巻く
  3. 大きめのクーラーボックス
  4. 冷たい飲み物を持っていく
  5. こまめに日陰で休憩する

夏場でも活きエサを弱らせない・生かす方法

虫エサの場合(アオイソメ・ジャリメなど)

夏場は必ずクーラーボックスに入れておきます。

虫エサの入った容器ごとクーラーボックスに入れておきます。

保冷剤の上にタオルを敷いてから置くようにすると、虫エサの凍死を防ぐことができる。

そこから数匹だけエサ箱に移して使い、エサ箱に移した分が無くなったらまたクーラーボックスの中から少しだけ取り出す…といった感じで小出しにして使うようにするといいです。

エサ箱に移す量は、1度に付け替えるのに必要な量の2~3回分程度が目安。

※保冷機能を持ったエサ箱(ベイトクーラー)について

写真は「メイホウ ベイトクーラー 204」。本体に断熱材が使われているエサ箱です。

フタ側に小さな保冷剤を入れておくスペースがあり、内部の温度を冷たく保つ工夫がされています。

▼実際に使ってみた感想

夏のキス釣りで数回使用。

正直、気休め程度。

やはり小さいので、真夏の日中だと保冷剤がすぐ溶けてしまい、エサ箱の中もすぐ温まってしまいます。

夜とか真夏以外の時期であれば、保冷効果が期待できると思います。

夏場はエサをクーラーボックスの中に入れて、小出しで使っていくやり方が今のところベストです。

泳がせ釣り用の小魚の場合

夏場、魚を活かす場合はスカリを使うのがおすすめ。(※ビクとも呼ばれる)

網状の容器みたいなもので、これに魚を入れた後、海中に沈めておきます。

写真は「第一精工 アジスカリ」。中に入ってる魚はサッパ
写真は「昌栄 メッシュビク」。中に入ってる魚はシロギスメゴチ

スカリであれば、バケツやバッカンで活かすときみたいに水温を気にしたり、エアレーション(ブクブク)の必要がありません。

参考情報

熱中症について学ぼう
熱中症ゼロへ – 日本気象協会推進

熱中症の対処方法(応急処置)
環境省熱中症予防情報サイト