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海釣りで食べられる魚での食中毒のケースと予防法

釣った魚での食中毒を防ぐには?海の魚を食べて起こる食中毒の原因と予防について。

  

※食べられない魚での食中毒についてはこちら。
海で釣れる食べられない魚・毒魚

海で釣れる魚全般で起こる食中毒・その1

症状

激しい腹痛、下痢など。

原因

「腸炎ビブリオ」による食中毒。

海水にいる細菌の一種です。

暖かい時期になると活発化し、増殖します。

予防

▼釣ったらすぐ冷やして保存する

低温だと増殖できなくなるため。

クーラーボックスの中に海水と氷を混ぜて、その中に魚を入れるとよく冷えます。


▼魚をさばくとき、水道水(真水)でよく洗う

体表についてる菌を洗い流す。

腸炎ビブリオは、塩分の無い真水では増殖できないため、海水より真水で洗うのが効果的。


▼魚をさばいたときに使った包丁やまな板はよく洗う

熱湯、塩素系漂白剤(キッチンハイターなど)を使うのが効果的。

もし洗わずに他の食材を切った場合、その食材に菌がうつって食中毒の原因になる恐れがあります(二次汚染)。


▼加熱してから食べる

中心温度60℃、10分以上。

参考情報

腸炎ビブリオ|「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

海で釣れる魚全般で起こる食中毒・その2

症状

激しい腹痛、嘔吐など。

原因

「アニサキス」による食中毒。

魚を生で食べると起こることがあります。

 

アニサキスは細長い糸状の寄生虫です。

大きさは20~30mm程度。色は半透明。

魚の内臓や腹部、筋肉の中にいることがあります。※特に内臓に多いとされる。

サバアジイワシ、サンマ、ブリ、カツオ、イカ(スルメイカなど)などから発見されることが多いとされます。

予防

▼加熱してから食べる

中心温度60℃で1分以上。


▼一度冷凍する

-20℃で24時間以上。

刺身やシメサバなど、魚を生で食べる場合は、一度冷凍してから冷蔵庫で解凍して食べることを推奨。

効果の薄い予防

▼刺身で食べるため、釣ったらすぐ内臓を取り出す

内臓だけでなく、すでに身の中にも潜んでいる可能性があるため。

釣ったらすぐ内臓を取り出せば、生でも安全に食べられるわけではありません。

※ヒスタミンの増加を防ぐためであれば、釣ったらすぐ内臓を取り出す意味はある。


▼酢、塩、しょうゆ、ワサビを沢山使う

一般的な調味料ではアニサキスは死にません。


▼よく噛む

アニサキスはとても小さいため、噛み潰せてない個体が残ったまま飲み込んでしまう可能性があります。

ついでにいうと、あごが疲れるのでおすすめしないです。

参考情報

海の幸を安心して楽しむために ~アニサキス症の予防~
ソース:農林水産省

赤身の魚で起こる食中毒

サバソウダガツオイワシ、サンマ、マグロなど。

症状

顔が赤くなる、頭痛、じんましん、発熱など。

原因

「ヒスタミン」による食中毒。

赤身の魚を常温で放置すると、身の中にヒスタミンが増えてしまい、食べると食中毒を起こすようになります。

 

詳しく説明すると、魚の身に含まれる「ヒスチジン」と呼ばれるアミノ酸が、細菌の酵素の働きによってヒスタミンとなるため。

常温で放置すると細菌の働きが活発となり、魚の身にヒスタミンが増えてしまいます。

予防

釣ったらすぐ潮氷で冷やして保存する。

エラ、内臓を早めに取り除く。

効果の薄い予防

▼加熱してから食べる

ヒスタミンは加熱しても無毒化できません。

ヒスタミンを増やさないことが唯一の予防です。

参考情報

ヒスタミン食中毒
ソース:消費者庁

水産物でヒスタミンを増やさないよう衛生管理を徹底しましょう!
ソース:農林水産省(PDF)

ヒラメで起こる食中毒

症状

下痢、嘔吐など。

原因

「クドア」による食中毒。

ヒラメを刺身で食べると起こることがあります。

クドアはヒラメに寄生している、とても小さな寄生虫です。※「粘液胞子虫」と呼ばれる仲間。

予防

▼加熱してから食べる

中心温度75℃で5分以上。


▼一度冷凍する

-20℃で4時間以上。

参考情報

クドアによる食中毒について
ソース:厚生労働省

アナゴで起こる食中毒※

症状

下痢、嘔吐など。

原因

「イクシオトキシン」による食中毒。

アナゴやウナギなどの血に含まれる毒素。血清毒。

※ただし、食中毒が起きるのは大量に摂取した場合(例えば生き血を沢山飲むとか)。普通ではまず起こらないとされる。

予防

▼加熱してから食べる

60℃で5分以上。

参考情報

自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒
ソース:厚生労働省

その他の食中毒

旋尾線虫(せんびせんちゅう)

症状

腹痛、吐き気、嘔吐、腸閉塞。

皮膚爬行症(ひふはこうしょう)。※寄生虫が皮膚の中をはい回り、皮膚に線状の赤い腫れやかゆみの症状が起きる。

原因

ホタルイカを生で食べると起こることがあります。

「旋尾線虫」と呼ばれる寄生虫による食中毒。

大きさは5~10mm程度。色は茶褐色。

ホタルイカ以外にも、スケトウダラ、ハタハタ、スルメイカなどの内臓にも寄生しているとされる。

予防

▼加熱してから食べる

中心温度60℃以上。

あるいは沸騰水で30秒以上。


▼一度冷凍する

-30℃で4日以上。

参考情報

旋尾線虫|「食品衛生の窓」
ソース:東京都福祉保健局

旋尾線虫症
ソース:愛知県衛生研究所

釣ってから何日まで刺身にして食べられるか

魚を生で食べる場合、やはり、なるべく早めに食べたほうがいいです。

何日まで大丈夫か?は、以下の条件によって左右されるからです。

  • 魚の種類
  • 魚の鮮度
  • キッチン・調理器具の衛生状態
  • 魚の下処理、さばき方
  • 冷蔵庫内の温度

 

管理人の場合、釣ってから6日目のアジを刺身にして食べても大丈夫でした。

 

以下、上記のアジを釣ってからの処理について。

当時、まだ生きてた頃のアジ。(おいしそう)
アジを締めて血抜きしてからクーラーボックスに。
クーラーボックスの中には、海水とペットボトル氷+保冷剤。

 

家に持ち帰ったら、アジの頭を落として内臓を出し、水でよく洗います。

腹の中、血合いをブラシを使ってきれいに洗い流します。

そのあと、一旦まな板や包丁をキッチンハイター&お湯で洗ってから、三枚におろす。

おろしたアジの身を、水気を切ってからキッチンペーパーにくるみ、さらにサランラップでくるみ、ジップロックに入れて、冷蔵庫で保存。

 

釣ってから6日目が経ったアジの身。
上記の写真よりさらに寄って撮ったもの。見た目や匂いは特に問題なし。
お刺身にした状態。
身の色はこんな感じ。

ちなみに味のほうですが、正直パッとしませんでした。

アジ独特の風味というか、あの香りがあまりせず、うま味もそれほど感じられなかったです。

釣ったアジがあんまり脂がのってなかったせいなのか、3枚におろしてキッチンペーパーにくるんでから寝かせたせいなのか…。

魚を寝かせる方法(熟成)については、今後色々と検証してみたいです(そして記事にする予定)。

終わりに~釣った魚での食中毒を防ぐポイントまとめ

以下の点を守れば、釣った魚での食中毒のリスクを減らすことができるはずです。

  • 釣ったらすぐ、よく冷えたクーラーボックスの中に入れて保存する。
  • よく加熱してから食べる。
  • 長期保存する場合は、早めにさばいて冷凍庫に。

 

刺身など、生で食べたい場合は、一度冷凍するのが安心です。

ただ、アジとかは冷凍せずに食べてる方がほとんどだと思います(自分も含め)。

アニサキス中毒に関しては、どの魚でも起こる可能性があります。

一度冷凍するかしないかは最終的に自己判断で、といったところです。

脂がのった大サバの刺身はとてもおいしいですが、サバに関してはやはり怖い。今は一度冷凍してから食べるようにしてます。

 

これから釣った魚を食べてみようと考えてる方は、以下も目を通しておくことをおすすめします。

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント(PDF)
ソース:厚生労働省